タヌキ
Nyctereutes procyonoides
総合評価
- 高
- 中
- 低
この動物をペットにすることには高いリスクが伴います。再検討を強く勧めます。
この動物のペット飼育には、中程度のリスクがあります。そのリスクを理解した上で飼育者としてきちんと責任を果たせるか、よく考えて判断してください。
この動物をペットにすることのリスクは低いでしょう。しかし、どのような動物であっても命を預かる重い責任があることを忘れないでください。
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保全
リスク保全
リスクペット利用を目的とした野生個体の捕獲(繁殖のための捕獲や囲い込みを含む)により絶滅のおそれが高まるリスク -
飼育の合法性
リスク飼育の合法性
リスク違法な捕獲・取引(売買や譲渡譲受)や飼育など飼い主の住む国や地域の法令に抵触するリスク -
健康・公衆衛生
リスク健康・公衆衛生
リスクペット飼育により飼い主や周囲の人々が健康上の影響を受けるリスク及びペット由来の大規模感染症を引き起こすリスク -
動物福祉
リスク動物福祉
リスクペットを適切に飼育しない/できないことで動物福祉を満たせないリスク -
外来種
リスク外来種
リスクペットが野生化し、飼い主の住む地域の生態系や人の生活に悪影響を与えるリスク
アイコンにマウスを合わせると、
こちらに説明が表示されます。
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ここに注意!
- 法律により国内に生息するタヌキの無許可での捕獲は禁止されています。
- 狂犬病、SARS、レプトスピラ症、疥癬症などの人獣共通感染症を媒介する可能性があります。
- 国内で従来生息していなかった地域への人為的な移入が確認されています。
基本情報
- 分類
- 食肉目イヌ科
- 生息地
- アジア及びヨーロッパの低灌木地、草原や森林
※ヨーロッパには、移入された個体群が生息しています。
※日本に生息する亜種ホンドタヌキを固有種とする説もあります。 - 体の大きさ
- 体長:50~68cm
体重:4~6Kg(夏季)、6~10Kg(冬季) - 寿命
- 野生での寿命は良く分かっていませんが、10年程度とみられています。飼育下では、14年以上生きる個体もいます。
- 食性
- 雑食性で、昆虫、両生類、爬虫類、小型の哺乳類などを食べます。水辺でカニなどの甲殻類、貝や魚を採って食べることもあります。秋には、果物、ナッツや種が主要な餌になります。餌の少ない季節には、屍肉を食べたり、人の出したごみをあさることもあります。
- 生態・特徴
- ペア又は少数の家族で行動する夜行性の動物です。グループメンバーが排泄場所を共有して、情報交換をしていると考えられています。イヌ科の動物ですが、吠えることはありません。友好的・従順な行動に伴って鳴き声を発したり、威嚇の際に唸ったりします。日本のような温暖な地域にすむタヌキを除いて、一般に冬眠をします。
専門家からのひとこと
タヌキは日本人にとって、昔ばなしや信楽焼の置物で馴染みがあります。
多摩動物公園ではホンドタヌキを飼育、展示していますが、日没後に行動することが多く、日中の観察が難しい動物です。
臆病で警戒心がとても強く、毎日の世話を続けていても、馴れることはありません。定期健診などで捕まえる時は、長い柄のついた網を使いますが、網越しに激しく咬みついてきます。小さくて鋭い歯は、皮製の手袋をしていても危険です。
また、複数の個体でトイレを共有する習性があります。それは「ため糞」と呼ばれ、タヌキ同士の情報交換の場と考えられていて、屋外であっても強烈なにおいを放ちます。
他にも強い体臭や穴を掘る習性など、屋内飼育は難しいと言えます。
参考情報
評価方法
ペット適性の評価は、5つのリスクの高低という観点で独自に作成した基準を用いて野生生物の保全と取引の専門家チームが、各分野の専門家の意見を得ながら実施したものです。
対象としたのは、エキゾチックペット(ペットとして取引・飼育されている犬・猫以外の動物)です。
この評価は、種/グループレベルで行っているため、個体ごとに状態が異なる点は評価に含めていません。こうした個体の状態がペット飼育に伴うリスクに影響する点は「飼い主チェック」で把握できるようにしています。
また、合法性リスクの評価基準には、生息地での密猟や密輸の可能性・深刻度は含まれていません。これらは、非常に重要な点ですが、使用できる適切な情報が不足していると判断したためです。
評価基準の作成には、各国各分野の専門家の協力を仰ぎました。今後も関連する法令の改訂や知見の蓄積に伴い、適宜基準の改訂及び再評価を行う予定です。